この診療科目に関連する症状
いぼ / じんましん / ニキビ / 湿疹 / 発疹 / 皮膚のかゆみ / 目のかゆみ / 肌が荒れている /
健康のバロメーターともいえる皮膚は、体のあらゆる病気が皮膚に変化をもたらすことが多く、内臓・骨・筋肉・血管などの人間の体全体を包む重要な臓器です。
皮膚科の診療
頭皮、顔、体、手足、耳や鼻、口の中まで、広範囲にわたり、目で見える部分が皮膚科の診察範囲です。肌が赤くなった、かゆい、できものができた、などが主な症状です。
また皮膚だけでなく、爪や毛髪などの疾患も皮膚科で受診する対象となります。爪の変色・変形や痛み、さらには抜け毛などに関しても、お気軽にご相談ください。
皮膚科と美容皮膚科の違い
皮膚科と美容皮膚科の違いはご存じでしょうか。
例えばニキビですと、皮膚科では毛穴の詰まりに良い影響を与え、ニキビをできにくくする薬に加え、アクネ菌や炎症に有効な抗生物質の飲み薬や塗り薬を処方することで、ニキビ自体を改善する治療を行います。一方美容皮膚科ではニキビを治したあとのニキビ跡に対してもケアをし、レーザー照射やケミカルピーリングによって肌を美しくするところまでを行います。
皮膚科の治療方針
外用剤(軟膏、クリーム、液剤、貼付剤)による基本的な治療から、いぼ・できものを切除するための冷凍凝固手術、麻酔を要する切り取る手術、紫外線を当てる治療など、さまざまです。慢性的で快復までの期間が長くなる疾病が多いため、血液検査やパッチテスト、病理組織検査など行うことで悪化要因を調査し、「症状を改善し、コントロールする」ような加療を行っています。
また、先述のとおり表面的な疾患に見えてしまいますが、実は内臓の病気や全身の異変から現れることもあります。
「このくらいなら少したてば治る」という自己判断ではなく、早めに受診して早期治療しましょう。
主な対象疾患
いぼ
いぼとは
いぼとは、皮膚の一部が盛り上がった小さなできものです。原因は「ヒトパピローマウイルス」というウイルスで、皮膚の小さなキズから感染し、いぼをつくります。魚の目やタコに似た小さなできものが発生しますが、自覚症状はほとんどありません。ご自身で削ったり切ったりせず、医療機関を受診し、凍らせる治療などを行います。
症状
よくみられるのは手や足の指で、通常は数mm~1cm程度の小さな皮膚の盛り上がりができます。一つだけできることもありますが、多く発生することもあり、集まって融合し、面に広がることもあります。通常は、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。顔にできる指状疣贅(しじょうゆうぜい)といういぼは、通常のいぼと形状が少し異なり、指をすぼめたような形をしていますが、これも尋常性疣贅の一種です。足の裏にできるいぼ(足底疣贅:そくていゆうぜい)は、あまり盛り上がらずに、ざらざらして硬くなることがあります。放置すると多発して、治るまでに時間がかかってしまうことがあります。
原因
原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスの感染です。HPVには多くの種類(型)があり、型の違いで多くできる部位やいぼの形状に違いがありますが、一般的ないぼ(尋常性疣贅)の原因になるのは、主にHPV2型です。HPVは皮膚にできた微細なキズから入り込み、3~6カ月を経て、いぼをつくります。子どもに多くみられ、キズがつきやすい手足や、アトピー性皮膚炎の子どもの場合では、引っかくことが多いひじやわきの下などにもよく発生します。また、「みずいぼ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ)」は、原因となるウイルスも症状も異なる別の病気で、治療法も異なります。
治療
医療機関(皮膚科)でいぼを液体窒素で凍らせて除去する「凍結療法」が一般的です。他にも、電気でいぼを焼き切る「電気焼灼法」もあり、患者さまに合った治療法が選択されます。ただし、どの治療法でも1回で大いに快復することはあまりなく、複数回の治療(通院)が必要になることが多いです。根気よく治療することが大切です。足の裏にできた、いぼは魚の目と似ており、誤った判断で市販薬を用いると、悪化することがあります。また、自分で削ったり、爪切りで切ったりせず、早めに皮膚科に相談しましょう。いぼを触った手で別の部位(特に皮膚が荒れていたり、キズがある部位)を触ったりすることで広がるため、むやみに触らないようにしましょう。他者への感染力は強くないので、プールやお風呂などを控える必要はありません。
乾癬(かんせん)
乾癬(かんせん)とは
乾癬(かんせん)とは、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に雲母のような白いあかが厚く付着して、その一部がポロポロとはがれ落ちる病気です。周りの人にうつる病気ではありません。
症状
乾癬(かんせん)は症状によって分類されます。
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
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尋常性とは「普通の、ありふれた」という意味です。つまり普通の乾癬(かんせん)という意味で、乾癬(かんせん)のなかでは一番患者さまが多い病気です。
欧米白人では有病率が3%と高いのですが、日本では有病率が0.1%前後で、10万人以上の患者さまがいると推定されています。また、戦後は右肩上がりに増加傾向にあります。男女比は2対1で男性に多く、主に30~40代に発病します。女性では、10代と50代の発病が多いともいわれています。
一つ一つの発疹は、ニキビのような赤いぶつぶつで始まり、だんだんまわりに拡大するとともに厚いあかをもつようになり、ある時を境に(その時の大きさは一定していません)よくなって消失するということを繰り返します。
乾癬(かんせん)はケブネル現象といって、こすったり傷ついたりしたところに数日してから新しい発疹が出てくることがあります。したがって、体のなかでよくこすれる部位である肘や膝、尻、頭などから発疹が出てきたり、あるいは発疹がひどい傾向にあったりします。このように、よくなったり悪くなったりを年余にわたり繰り返す、経過の長い病気です。
爪が白く厚ぼったくなり、爪水虫と間違われる場合もあります。何かのきっかけで急に悪化する場合には、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)や関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)といった重症型になることがあります。
- 関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)
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手指や足指、四肢などの関節炎を合併する乾癬(尋常性乾癬)です。患者さまはやや男性に多いとされており、乾癬(かんせん)の重症型と考えられています。
尋常性乾癬(かんせん)の発疹が全身にでき、真っ赤な状態(紅皮症)となっている時に、多くは関節の痛みを伴ってきます。
通常は手指、足指などの関節が痛みますが、肩や肘、膝、腰(仙腸関節)も痛くなることがあります。関節痛が長期にわたって続くと関節の変形も出てきます。
- 乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
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皮膚の病気である乾癬(かんせん)に合併して起こる関節炎です。関節リウマチに似ていますが、血液検査でリウマトイド因子は陰性で、血清反応陰性脊椎関節炎という疾患グループのなかに含まれます。
この病気は、すべての人種にみられますが、やや欧米の白人に高い傾向が報告されています。30~50歳で発症し、ゆっくり進行します。発症に男女差はほとんどありません。
関節の痛みや腫れ、時に腱の付着部の痛みが生じます。関節の痛みや腫れは軽度で、関節リウマチとは異なり、手指や足指の先端の関節によく起こり、少数の関節が侵されるだけの場合が多いようです。しかし、時に大きな関節も含め、破壊が進行することもあります。
症状の特徴から、いくつかのタイプに分類されます。
- 非対称性で発症する、関節数が少ないタイプ
- 多発性に関節が炎症を起こし、関節リウマチに似ているタイプ
- 関節破壊が強く、特に手指では著しい変形がみられるタイプ
- 仙腸関節や脊椎に病変がみられるタイプ
などがあります。
乾癬(かんせん)はよくみられる慢性の皮膚疾患で、皮膚が肥厚して境界がわりとはっきりした炎症性の斑点があり、鱗屑(うろこ状の皮疹が厚くなったもの)でおおわれることもあります。病変は肘、膝の伸側、頭皮、耳、仙骨上部に認められることが多いようです。爪にくぼみや変形などがみられることもあります。
乾癬(かんせん)の患者さまのうち20人に1人は関節炎を併発します。通常は、乾癬(かんせん)が関節炎に先行しますが、皮膚の症状と関節炎の進行とは直接的な関連はないようです。
- 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
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表面にうみ(膿疱)をもつ乾癬(尋常性乾癬)で、発熱などの症状も現れ、乾癬(かんせん)の重症型と考えられています。日本では約1,000人の患者さまがいると推定されている、まれな病気です。1年間に50人ほどが新たに発病しています。
ニキビのような赤い発疹で始まり、2~3日のうちに急速に大きくなり、それとともに赤い発疹のまわりを囲むようにうみが出て、中心は茶褐色の色がついた状態となっていきます。
発疹とともに熱が出て、全身がだるく、口のなかが荒れ、それらが合わさって食欲が低下するため、低栄養となることもあります。
疥癬(かいせん)
疥癬(かいせん)とは
疥癬(かいせん)とはヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)という、とても小さなダニが人の皮膚に寄生(きせい)して起こる、かゆみを伴う皮膚の病気です。この病気には通常疥癬(つうじょうかいせん)と呼ばれるものと、他の人に感染する力が強い角化型疥癬(かくかがたかいせん)と呼ばれるものの、2つの種類の病型(びょうけい)があります。
通常疥癬(かいせん)角化型疥癬(かいせん)の症状
通常疥癬(かいせん)と角化型疥癬(かいせん)はどちらもヒゼンダニが原因です。寄生しているヒゼンダニの数が大きく違い、感染力に大きな違いがあります。
通常疥癬(かいせん) | 角化型疥癬(かいせん) | |
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ヒゼンダニの数 | 数十匹以下 | 100万~200万匹 |
人の免疫力 | 正常 | 低下している |
感染力 | 弱い | 強い |
主な症状 | 赤いブツブツ (丘疹・結節) 疥癬(かいせん)トンネル |
あかが増えたような状態 (角質増殖) |
かゆみ | 強い | 不定 |
症状が出る部位 | 顔・頭を除く全身 | 全身 |
原因
通常疥癬(かいせん)から感染する場合と角化型疥癬(かいせん)から感染する場合があります。感染する力の強さが違います。
- 通常疥癬(かいせん)
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- 直接経路
長い時間、肌と肌が直接ふれることで感染します。少しふれる程度ならば感染することはほとんどありません。 - 間接経路
疥癬(かいせん)の患者さまが使用した寝具や衣類などを交換せずに、すぐに他の人が使用することで感染することもあります。
- 直接経路
- 角化型疥癬(かいせん)
-
感染する力が強いので短い時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触でも感染します。また、皮膚からはがれ落ちたあか(角質)にも多数のダニが含まれているため、感染の原因になることがあります。
治療
疾患そのものを完治させる治療法はないため、治療の最終目標(ゴール)は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することである。また、このレベルに到達しない場合でも、症状が軽微ないし軽度で、日常生活に支障を来すような急な悪化が起こらない状態を維持することを目標とします。治療内容としては炎症を起こしている湿疹に対しステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による外用療法を主とした薬物療法、皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能低下)に対し保湿剤外用によるスキンケア、かゆみに対して抗ヒスタミン薬の内服を補助療法として併用し、悪化因子を可能な限り除去します。重症・難治の場合には、シクロスポリン内服、紫外線療法、心身医学的治療なども検討します。最近では生物製剤も出てきた。基本的には外来で外用療法を中心とした治療をまずは行い、皮疹の程度などからこれらの治療を組み合わせていきます
水虫(爪水虫も含む)
水虫(爪水虫も含む)とは
水虫(足白癬)は白癬菌というカビの一種が感染して起こります。白癬菌の感染は足指の間や、足の裏、足の爪、陰部などに多く、特に爪を含む手足に白癬菌が感染した状態を水虫と呼びます。足以外の白癬菌の感染は、足の水虫から広がった場合が多いです。猫や犬などのペットから感染して水虫になるケースもあります。水虫は、菌が住みやすい環境になると感染しやすくなります。汗をよくかく、蒸れやすい革靴やブーツを長時間はく、糖尿病の人などは水虫にかかりやすいです。
爪水虫(爪白癬)とは爪にできる水虫で、爪白癬(はくせん)爪カンジタ症といいカビが爪に感染する爪真菌症(しんきんしょう)です。白癬菌やカンジタというカビが原因で発症しますが、白癬菌は爪の先端から変色して厚くもろくなることが多く、カンジダ菌は爪の付け根から症状がはじまることが多いです。爪水虫は足水虫を気付かず放置してしまって爪水虫になっている場合が多いですが、痛みもかゆみもないので気付いていない場合があります。ですので、あまりきちんと治療されずに、放置されていることが多い疾患の一つです。
症状
水虫(足白癬)は、足の指の間の皮がむけたり、白くふやけたりする「趾間型」と、水膨れが破け皮がむけた「小水疱型」、ヒビやあかぎれのように足の裏全体が硬くなる「角質増殖型」があります。「趾間型」や「小水疱型」は、ひどくなるとかゆみが出ますので、水虫だと自覚しやすいタイプです。一方、かかとがひび割れる「角質増殖型」はかゆみがでることが少ないので水虫と気づかないケースがあります。
爪水虫(爪白癬)は、見た目が爪の色が白、黄色、黒っぽくなっている、もしくはこれらの色が混じった色合いをしていることがあります。また爪が厚くなり、もろくなる場合もありますが、かゆみや痛みはほとんどありません。
治療
水虫(足白癬)の治療には外用抗真菌薬というカビを殺す塗り薬があります。治療期間は数カ月程度ですが、しっかり治療を行わないと再感染することもあります。
一部内服が必要となることもあります。
爪水虫(爪白癬)の治療は飲み薬と塗り薬があります。また、足水虫同様、改善したと思っていても、再度感染する可能性があります。薬剤を使った治療でも最低3カ月以上の治療が必要で、1年以上の治療を行うことも少なくありません。
- 外用薬
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爪水虫専用の外用薬です。1日1回塗る薬ですが、爪以外につくと皮膚がかぶれる可能性があり、注意が必要です。再発を予防するためにも症状がよくなってからも塗り薬は3カ月~6カ月位つける必要があります。塗り薬は患部をよく洗ってから塗るようにします。特に入浴後の皮膚はふやけて柔らかくなっているので、成分が浸透しやすくなります。
- 内服薬
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内服薬にはイトラコナゾール・テルビナフィン・ネイソンの三つあり、内服期間は6カ月程度です。ただし、内服期間終了後もしばらくの間成分が爪の中に残っていることが多いので、経過を観察します。内服を始めてから治癒しない場合は、薬剤の変更が必要になる場合もあります。内服薬は副作用や相互作用を起こすこともあり、併用できない薬もございますので、現在内服中のお薬を確認します。
じんましん
じんましんとは
皮膚の血管から水分がもれて浮腫(むくみ)を形成するので、かゆみを伴った紅斑や膨疹(境界がはっきりした扁平な隆起)が出没する疾患です。数日以内におさまる急性じんましんと1カ月以上出没を繰り返す慢性じんましんがあり、重症では全身に症状を伴います。
症状
かゆみの強い境界がはっきりした紅斑や膨疹が突然現れ、数時間で消えたり、位置が変わったりします。円形、地図状、線状などの形がありますが、コリン性じんましんでは数mmの白色の膨疹が体幹にみられます。重症になると、腹痛や顔面の腫れ、のどが詰まる感じや呼吸困難になり、さらにはショック状態になります。
顔面、口唇や四肢などが腫れて数日後におさまるものはクインケ浮腫です。
原因
即時型アレルギーによるものと中毒性のものがあります。食べ物(食物アレルギー)やその添加物、薬剤(ペニシリンなどの抗菌薬、アスピリンなどの解熱鎮痛薬など。薬物アレルギー、アスピリン過敏症)、虫刺症、細菌やウイルス感染、がんや自己の成分に対する反応などです。
また、物理的刺激でも起きることがあり、圧迫やまさつ(機械的じんましん)、温熱、寒冷、日光などが原因となります。神経の末端からアセチルコリンが分泌されて生じるコリン性じんましんは青年に多く、温熱や運動などにより発生します。
検査・診断
アレルギー性が疑われる時は、それらの検査を行います(食物アレルギー、薬物アレルギー)。物理的刺激が疑われる時は、それぞれの刺激を部分的に加えて症状を誘発します。
治療
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを使用します。重症の場合は、ステロイド薬を使用することもあります。皮膚にはかゆみ止めの薬を塗ります。
病気に気づいたらどうする
原因を明らかにすることが重要です。薬剤が疑われた場合は医師に相談し、食べ物が疑われる場合は、食物日誌をつけてじんましんが出た時に摂取したものを記録します。ソバやナッツ類のアレルギーなど、症状が重症になるものは少量でも摂取しないように注意します。
コリン性じんましんは次第に発生しなくなることが多く、それまで激しい運動や長時間の入浴は避けます。寒冷じんましんでは冷たいプールなどにいきなり飛び込むとショックになることがあるので注意します。
アトピー性皮膚炎
アトピーとはアレルギーとほぼ同じ意味の言葉ですが、より詳細にはアレルギーの中でも、特に遺伝傾向が強く、両親のうちどちらかがアレルギー体質の場合、60~70%、両親ともの場合は、90%ほどの確率で遺伝します。
アトピー性皮膚炎は、「湿疹ができる」、「皮膚がかゆくなる」、「皮膚が赤みを帯びる」などの症状が現れる皮膚の病気です。
乾燥肌、刺激に反応しやすい皮膚、かゆみを感じやすい性質、心理的ストレス、外部からの物理的な刺激など、いろいろな要素が関係していて、複数の原因が重なると症状が出てくると考えられます。
湿疹
湿疹とは
- 皮膚の表層(表皮・真皮上層)に起こる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれます。
- 湿疹の多くは外からの刺激に反応して起こる「接触皮膚炎」ですが、原因がはっきりしない場合もあります。
- かゆみに加え、赤み、細かいブツブツ、小さな水疱などが混じり合うことがあります。
- 原因と考えられるものがあれば避けられますが、原因不明でもステロイド薬の外用で改善が期待できます。
症状
- 急性湿疹では、かゆみに加え、赤み、細かいブツブツ(丘疹)、小さい水疱が発生し、次第に膿のたまった水疱(膿疱)が混じるなど、多様な小型の皮疹がみられます。
- 時間の経過とともに、ただれたり、かさぶたができる場合もあります。これらが剥がれ落ちて治癒します。
- 湿疹症状が長引き、慢性化すると、皮膚が乾燥し、ザラザラ、ゴワゴワした状態になり、さらに長引くと色素沈着が起こる場合があります。
- 主婦や水仕事の多い職業の人では、手湿疹(手荒れ)が多くみられます。進行すれば、ひび割れ、しみる痛みなどにつながります。
原因
外からの刺激(外的要因)と、体質などの内的要因が複雑に絡み合って起こると考えられており、原因を一つにしぼることは難しいことが多いです。
外的要因 内的要因 薬や化学物質、物理的刺激、ハウスダスト、花粉、細菌、カビ など 体の不調、体質(アレルギーやアトピー素因の有無など)、皮膚の乾燥状態、汗や皮脂の分泌状態 など 多くの場合、これらが複雑に絡み合って湿疹が起こり、原因をはっきりとは特定できないことが多いです。
- 原因のはっきりしない湿疹の場合、発症から間もない湿疹は「急性湿疹」、長期化し皮膚が乾燥してゴワゴワした状態は「慢性湿疹」と呼びます。
- 湿疹の特徴から、「手湿疹」や「皮脂欠乏性湿疹」、「脂漏性皮膚炎」など、名前の由来になった湿疹もあります。
- 湿疹がみられる代表的な疾患には、接触皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎などがあります。
- 湿疹のできる場所は、全身のどこにでもできる可能性があります。
対処・予防法
- 原因と考えられる物質(刺激)がわかれば、それを避けます。
- かゆいからとかいてしまうと、より悪化し、さらにかゆみが広がって治りが悪くなったり、とびひになってしまうこともあるため、患部をかかないようにします。また、かゆみや炎症を抑える薬を使用し、悪化させないようにします。
- 炎症やかゆみにはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服が有効です。
- 手湿疹の場合には、こまめにハンドクリームを塗るなど保湿対策も大切です。
- 原因がはっきりしない場合、原因がわからなくても症状を抑えることはできます。症状が強かったり、長引いたり、繰り返してしまう場合などには早めに医療機関(皮膚科)を受診しましょう。
ニキビ
10代から20代に多く見られるニキビ。思春期に発生するため学校でのいじめをはじめ、心理的・精神的に大きな影響をもたらすことがあります。早期治療を開始し、改善できるよう根気よく治療を続けてください。
ニキビができる仕組み
多くの方はニキビができた経験があると思います。「すぐ治るデキモノ」と思っているそのニキビは、医学的には「尋常性ざ瘡」と呼ばれる病気です。
では、ニキビはどのようにできるのでしょうか。
- ニキビができる仕組み
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- 思春期になると男性ホルモンの影響により皮脂の分泌が増します
- 毛穴の出口で皮膚の異常が起き、毛穴が詰まります
- 皮脂が毛穴にたまることで、面ぼう(ブツブツ)ができます
- 皮脂が詰まった毛穴にアクネ菌が増殖します
- アクネ菌によって毛穴の周りが赤く腫れるなどの炎症を起こします
- 炎症がひどくなり、毛包の組織が破壊されます
- ニキビ痕が残ります
気になるからといって触ったりつぶしたりすると、悪化させたりニキビ痕を残すことになります。
ニキビの種類
- 毛穴が狭くなる
- 「微小面ぽう」といいます。毛穴が狭くなり、皮脂が増加することで毛穴に皮脂が詰まっている「角栓」とよばれる状態です。この微小面ぽうは、肉眼で確認することができないです。
- 毛穴が詰まる
- 白ニキビや黒ニキビなどの面ぽうをいいます。
白ニキビは、毛穴に角質が白く詰まった状態で、化膿も炎症もなく、すぐに治ることもあります。栄養バランスや生理周期の影響で発生することもあります。
黒ニキビは、毛穴に詰まった古い皮脂や角質が酸化して黒くなったものです。毛穴の汚れと思うかもしれませんが、ニキビの一種で「非炎症性皮疹」と呼ばれる状態です。 - 炎症が起こり、化膿、炎症が広がる
- 炎症を伴って赤く腫れたり、化膿して膿をもった状態です。赤ニキビ、黄ニキビなどとも呼ばれます。一度できてしまうと治りにくく、多くの赤ニキビが複数集まって発生することもよくあります。
炎症が悪化したり長引いたりすると、クレーターのような状態になって残る可能性もあります。
原因と予防
ニキビの原因は、アクネ菌の繁殖によるものです。他の病原菌とは違い、人体に悪影響のない菌です。常在菌という常に皮膚や毛包内に存在する菌で、皮膚を弱い酸性にすることで他の病原菌の繁殖を抑えてくれる役割も果たします。ただアクネ菌は毛包内のような「酸素が少なく皮脂が豊富なところ」で繁殖しやすい性質があり、増殖することでニキビの進行を促してしまします。
では、ニキビを予防するにはどういうケアをすれば良いのでしょう。
女性の場合、まずお化粧(特に油分を多く含むファンデーション)によって毛穴がふさがりますので、アクネ菌は繁殖しやすくなります。お化粧を落とせる状況になれば早めにしっかり洗い落とすようにしましょう。同時に、汗による汚れや、空気の乾燥による影響もニキビを悪化させる要因となりますので、汗を拭きとる、保湿を十分に行う、などのケアが必要になります。
その他、不規則な生活による睡眠不足や食事、ストレスなどもよくありません。生活リズムを整え、バランスの良い食事を取るようにしましょう。
主なニキビ薬
皮膚科で処方されるお薬、市販されているお薬と、特徴の違うものが多種多様にあり、どれがあっているのかわからなくなります。ポイントとしては、症状に合わせることはもちろんのこと、肌タイプに適しているかも合わせてお医者さんに相談して、選ぶことが大切です。
外用薬
- 抗生物質などの殺菌系
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アクネ菌を抑える作用のある抗生物質など、殺菌成分が入った薬です。ニキビの炎症を引き起こしている原因菌であるアクネ菌に効くので、炎症を起こしている赤ニキビに即効性があります。一方、炎症を起こしていない白ニキビや黒ニキビには作用がありません。
デメリットとしては、アクネ菌だけでなく、肌に常在する善い菌も殺してしまい、肌荒れに繋がってしまいます。また、抗生物質は長く使うと耐性菌ができてしまい、効かなくなってしまいます。そのため症状が強く出ているときにピンポイントで使うことが大切です。
皮膚科で処方してもらうものと、薬局で買える市販薬どちらもあります。
- 抗炎症系
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炎症がひどいとき、抗炎症作用に効く成分が含まれていると、赤みや腫れを抑えてくれます。赤ニキビが多く発生しているときには、殺菌成分に加えて抗炎症成分も含まれているものを選ぶと良いでしょう。ただ、これも炎症を起こしていない白ニキビや黒ニキビには作用のない成分です。
- 硫黄系
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角質を柔らかくする作用と殺菌作用を併せ持つ硫黄製剤は、ニキビの重症度に関わらず、おだやかに効きます。副作用も少なく、薬局で買える市販薬は多くがこのタイプです。デメリットとしては肌を乾燥させる作用があるので、乾燥肌のニキビには適しません。
内服薬
- 抗生物質系
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抗菌作用・抗炎症作用のある内服薬です。体内からアクネ菌に対抗し、炎症を起こしたニキビに効きます。
体内の善玉菌まで殺傷してしまうため、長期使用になると耐性菌ができてしまいます。また、副作用として、めまいなどの症状が現れることがあります。
基本的には市販薬としての扱いがないため医師による処方が必要となります。 - 漢方・生薬系
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炎症を緩和したり、ホルモンバランスを整えたり、漢方薬によって働きが違います。
市販薬もあるので、薬が肌に合わなかったり、ニキビが繰り返しできたりする状態を改善したいという人には特におすすめです。
- ビタミン剤
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不足するとニキビや肌荒れを引き起こすといわれるビタミンB2やB6、ビタミンCを配合したビタミン製剤は、薬局やコンビニで購入できます。ただし、これらは即効性があるものではありません。今あるニキビにすぐ効くというよりは、ニキビができにくい体の土台作りになります。
AGA(男性型脱毛症)
髪の毛がよく抜ける、薄くなってきた気がする、という悩みは、見た目の変化にとどまらず、精神的にもつらいもの。また、気にすれば気にするほど悩みは膨らみ、人と接することも嫌でたまらない、という人も多いのではないでしょうか。
遺伝とも生活習慣の影響ともいわれている抜け毛ですが、改めてその仕組みを知り、相談する選択肢があることも知ってもらえたらと思います。
原因と治療
最近はテレビCMからもよく聞かれるようになったAGA。昔からの言葉では“ハゲ”になるのでしょうか。。誰もが知る症状・現象で、大きな悩みを抱えている人も少なくありません。なぜ起きてしまうのか、止めることはできないのか。基本的な原因について知ることで、治療に専念できたり、周りで悩んでいる人にも寄り添えたりできるかもしれません。
- DHT(ジヒドロテストステロン)
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「Androgenetic Alopecia」を略してAGAといい、正式には「男性型脱毛症」です。病名からもわかるように、男性特有の病気で、原因もまた、男性ホルモンが影響しています。
AGAの症状となった脱毛部には、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が高濃度に見られ、これが原因となることがわかっています。DHTが髪の毛の成長期を短くしてしまうことで、毛髪が太く長く育つよりも前に抜け落ちているのです。
実は元々DHTは、脱毛作用のない「テストステロン」という男性ホルモンなのですが、加齢などによって減少していきます。そのホルモンの減少をカバーするために「5αリダクターゼ」という酵素が働き始め、テストステロンをDHTに変化させていきます。この変化の時が、強い脱毛作用が起きている時なのです。
- 遺伝
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テストステロンの減少をカバーするために働く酵素が「5αリダクターゼ」と説明しましたが、この酵素を体質として、元々多く持っている方がいらっしゃいます。これはいわゆる「遺伝」的な要素が強く、家族や親族の男性に薄毛の方が多い場合は、「5αリダクターゼ」が多い家系と考えて良いでしょう。
おじいちゃんもお父さんもハゲているから…という話も「遺伝」として説明がつきます。また、DHTは毛乳頭細胞のアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)を通して取り込まれ、毛髪の成長リズムを乱すことでAGAの原因となります。このアンドロゲンレセプターの感受性の高さも遺伝であることがわかっています。
現在はアンドロゲンレセプターの感受性を調べる遺伝子検査もあり、当院でも受けることができます。まだAGAが進行していなくても、遺伝が心配な方は一度、ご相談ください。 - 生活習慣
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遺伝的要素がなかったとしても、生活習慣悪化によってAGAを発症する可能性は誰にでもあります。
- 脂質や糖質の多い食生活
- 過度の飲酒・喫煙
- ストレス過多
このような生活習慣の男性は、要注意です。
脂質の多い食事や喫煙は、頭皮の余分な皮脂を増やしたり、血流を悪化させたりして、健康な髪に必要な栄養素を頭皮や毛母細胞まで届けることを難しくします。また、アルコールの摂り過ぎも、髪の毛が成長するための栄養素を壊してしまいます。
タンパク質やビタミン類、亜鉛などを意識しつつ何でもバランスよく食べて、できるだけストレスフリーの生活を送ることも、AGA予防や改善のためには重要なんですね。
AGAの特徴
AGAなのか他の脱毛なのかを見分けるためにも、AGAに特徴的な症状を確認しておきましょう。
- 思春期以降に発症する
- 額か頭頂部のいずれかもしくは両方から抜け毛が始まる
- 徐々に進行していく
- 1日100本以上の抜け毛がある
AGAには、このような特徴が見られます。AGA発症は男性ホルモンの分泌が活発になる思春期以降の男性にのみ起こるというのが、大原則です。
- セルフチェック
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ご自分でもチェックすることが可能です。お医者さんへ相談する前に一度、下記の項目に該当するかご確認ください。
- 以前に比べて抜け毛が増えた
- 父母や祖父母に薄毛の人がいる
- 産毛や細い毛が増えた
進行の段階と種類
- 第1段階(I)
- 生え際に薄毛が進行し、額の面積が広がってきます。見た目に問題がないためAGAが始まっていると気付かない方が多い初期ステージになります。
- 第2段階(II、IIa、II vertex)
- 生え際の進行に加え、髪全体のボリュームの減りも目立ち始めます。併せて、頭頂部に薄毛が進行する方(O型)、額の進行が激しい方(M型)で見栄えも分けられます。
- 第3段階(III、IIIa、III vertex)
- 前頭部の進行と頭頂部の進行が少しずつつながってきます。前頭部に早い進行が見られるM型の方も、頭頂部に薄毛が見られるようになります。第3段階では明らかにAGAであると診断しやすい特徴が表れています。
- 第4段階(IV、IVa)
- 生え際・頭頂部ともに頭皮が見える面積が広がっています。治療をお考えの方は、第4段階までに開始すると結果が出やすいといわれています。
- 第5段階(V、Va)
- 前頭部の進行と頭頂部の進行がつながってしまいます。全体の1/3ほど頭皮が見える程の状態で、薄毛・発毛治療の結果が出にくくなってくるステージです。
- 第6段階(VI)・第7段階(VII)
- M型O型の区別がつかないくらい、薄毛の部分が広がります。ここまで進行してしまうと、増毛施術を選ぶ方が多くなります。
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